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14.自分を好きになりたい

自分を好きになりたい。

誰もが思っていることかもしれません。それは、今の自分を手放しで受け入れるわけにはいかない、ということでしょうか。どこがどう変われば、丸ごとの自分が好きになれるのでしょうか。 それにはまず今の自分を受け入れて認めてあげることだ、と”スピリチュアルに”始めてもいいのかもしれませんが、スナック菓子の袋を開けたら最後、空になるまでやめられない性格、とか、新年を迎えるたびに禁煙の誓いをたてては三が日の内に破ってしまう、とか、収入が足りない、とか、人に愛されない、とか、親に傷つけられて育った過去をひきずっているとか、あるいは、いつも疲れている自分、何にも夢中になれない自分、悲観的に考えてしまう癖、等々、うんざりする点をたくさん抱えたまま、その自分を受け入れて認めてあげる、ということなど、はたしてできるものなのでしょうか。 わたし自身は、十代の終わりに、こんな自分じゃ絶対イヤだ、こんな自分は絶対認められない、とはっきり思ったのです。何がきっかけでそう思ったのか忘れてしまいましたが、それまでは、自信のなさや心のなかの葛藤、人間関係の悩みなどを、その都度、人のせいにしたり、過去のせいにしたりしてごまかしていたのを、「それは全部、自分がダメだからだ」と答えを出したことで、実にすがすがしい気持ちに包まれたことを覚えています。 そして、その後のわたしの人生は、「ならばどうやって、何に向けて、自分を作り直していったらいいのか」を探しては試す旅だったように感じます。出発点になった爽快感は、そのまま肌にしみこんで、大事なことを忘れそうになったときには、すっと蘇ってきて助けてくれています。 今の自分じゃどうしようもない、と認めることは、自分を好きになりたい、と考えるよりも、ずっと大事なのではないでしょうか。 なぜなら、どうしようもないことが確認できてはじめて、自分を教育するという人生の目的が定まるからです。 教育とは、受けるものではなく、自分で自分にほどこしていくものだと思います。そして、それこそが、わたしたち全員の、生きる意味なのではないかとも思っています。自分で自分をより良くしていく、ということが。 そして、長い間、迷ったり怠けたり遠回りをしたり、多々あったにせよ、その旅を続けてきて気がついたのは、自分を良くしていくということは、必ずしも、「自信をつける」のと同じではない、ということでした。 自信というのは、痩せてきれいになった、頑張って資格をとった、仕事で認められた、いい男性と結婚した、特技を身につけた、経済的自立がかなった、など、さまざまな事柄を通して得ていくものなのでしょうけれども、実のところ、「やっとこれで人並みになった」にしても「人に抜きん出るものを持てるようになった」にしても、つまり、これで人に認めてもらえる、大事にしてもらえる、独りぼっちで世の隅に追いやられることはない、という安心感のことなんですね。 他人が基準になっていますから、その安心感は、長続きしません。だから、しょっちゅう、安心感を更新していくためにさらなる努力を強いられることになるし、うまくいかなければ、自信喪失、ふりだしに戻る、ということになりかねません。自信というのは、やわで、当てにならないものなのです。 ですから、自分を教育する、良くしていく、というのは、自信があるとかないとかという次元とは別のものだということになります。逆に、自信をつけようとするほど、つまり自分という小さい存在を社会に認めさせようとすればするほど、教育のカリキュラムは崩れます。 ということは、自分を良くするとは、逆説的ですが、自分へ向けている意識を自分から引き離すこと、自意識を超えた、誰のなかにも流れているパワーの存在に意識がつながるようにできること、それを維持できるようになることだと言えるわけです。 宇宙の大きなパワーと愛に心が向かうとき、自分という、小さく、臆病な存在は、自然にそのパワーと愛を表現する存在へ変貌します。すると、驚くべきことに、自分だけでなく、まわりの人たちもまた同時に、愛を放つ存在として新しい姿を現すのです。 自己教育の目的は、このことに違いないとわたしは思っています。目標も同様に。そして、宇宙の愛につながるための橋渡しになってくれる存在を、ホーリー・スピリットと呼んでいるのです。


(初出誌 Linque Vol.15 発行:国際美容連盟2007年1月)

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