3. 深呼吸をして、自分に素直であるように
- Yasuko Kasaki
- 2004年10月1日
- 読了時間: 3分
今回は私が繰り返し経験している奇妙な現象についてお話します。 ヒーリング・セッションに初めていらっしゃるときに「お友達の紹介でこちらを知りました」とおっしゃる方が大勢います。そしてわたしは、その方とのセッションの後に、そのお友達に、たとえば「ご紹介どうもありがとう。すばらしい方ね」とお伝えします。 ニューヨークですから、オフィスにみえる方の国籍、出身地は実にさまざま。アフリカ、アジア、ロシア、アラスカ、南アメリカ、ニュージーランド、その他いろいろで、それぞれが、身体的疾患、心の痛み、仕事の迷い、恋愛の悩み、等々を抱えて、いらっしゃるのですが、わたしから見れば複雑な難題はどこにもなく、絡まり合った糸をほどくのは簡単で、そしてそれができない弱いエネルギーしか持たない人などひとりもいないのです。 誰もが、本来の自分を受け入れたい、輝かせたいと願っています。そのお手伝いをするのに、まずわたしが、その輝きを見せていただくことになります。だからわたしはこの仕事が好きなのです。 ところが、お友達にお礼を伝えると、彼女の表情に、一瞬、影のようなものが走ることがあるのです。 「そんなはずはない。彼女がすばらしいはずはない。彼女には問題がある。それを治してもらわなければ困る」というメッセージです。 「あなたは彼女の悪いところがちっとも見えていないんだ」と言いたげな様子です。 親しければ親しいほど、相手のすばらしさを理解するようになる、はずですね。それが反対に「悪いところ。欠けているところ」が見える、というのはどういうことでしょうか。 「親しいから、欠点もまたよく知っている」と口にするとき、その心の底にはどんな思いが隠れているのでしょうか。 「ほんとうは友人として(同僚として。上司として。部下として。夫として。等々)こういう人であってほしいのに、彼女は必ずしもそういう人であってはくれない」という不満があるかもしれません。それが彼女の「不完全な人間像」を作り上げているのかもしれません。 そしてその不満は、「わたしにはこういうところが欠けている。これは恥ずかしいことだ。正すべきことだ」という秘かな気持ちを、相手に投影しているだけかもしれません。 簡単に言えばこういうことです。窓を開けて空気を入れ換えたいなと思うとき、自分に元気があれば、さっさと立っていって窓を開けるでしょう。けれど疲れていると、そばにいる相手に代わりに開けてほしいと期待します。そして「何をぐずぐずしているのだろう。なんて気がきかないのだろう。右だけじゃなくて左の窓もちゃんと開ければいいのに」云々と文句が出ます。 欠点のある人間なんていないのです。誰かのなかに「欠点」が見えるとき、それは自分の「欠点」、ほんとうはそんなものはないのにあると思いこんでいるネガティブな場所を見ているのです。ですから、お互いに自分の「欠けている」意識を投影しあっているとき、その二人が分かち合っているのは友情ではなく、ほんとうではない自分、嘘の自分ということになります。 誰かの「欠点」を感じたら要注意。深呼吸をして、自分に正直であるように、今一度、姿勢を正したいものです。
(初出誌 Linque Vol.4 発行:国際美容連盟2004年10月)
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