15. 引力の法則
- Yasuko Kasaki
- 2007年4月1日
- 読了時間: 3分
アメリカで A low of attraction という言葉がさかんに口にされています。まるで流行語と言っていいくらいですが、大事なことなので、正しい意味をよく確認しておきましょう。 直訳すれば、引力の法則。慣れた日本語の言い方にするならば、類は友を呼ぶ、または、類を以て集まる、という意味に近くなります。つまり、自分が放っている波動に似た出来事や人物がまわりに集まってくるということですから、今さら改めて言い立てる必要もないほど、私達の常識として浸透している基本的なエネルギーの法則です。
たとえば、 「わたしは、なんでこんな人と付き合って/結婚してしまったんだろう」 「わたしは、なんでこんな職場にいなきゃいけないんだろう」という悩みがあるとします。 相手や職場が自分をイライラ、うんざりさせる点をあげつらって、なんとかしてそこから逃げようとする。相手とはきっぱり別れ、仕事を辞め、次はほんとうに自分にぴったりの場所を探そうとする。これは、わたしたちが何度でも陥りやすい間違いですね。 というのは人生のいかなる瞬間も、いつ何時でも、わたしたちは、例外なく、自分にぴったりの環境に身を置いて、自分にぴったりの人々と人生を分かち合っているものだからです。 そして、自分にぴったりの、というのは、「もっと幸福な人生に向かって、今の自分が、いちばんよく学び、成長できる場所」が与えられている、ということなのです。 ですから、学ぶことをしないで、別な場所に移動しても、パートナーを取り替えても、そこには同じ材料が待っているだけです。 その意味で、わたしたちは、いつも、適材適所にいます。 そこから学ぶ姿勢があれば、どんな環境にいても、感謝できます。感謝して学ぶなら、ひとつの学びにいつまでもぐずぐずとどまっていることはあり得ず、人生は加速して進んでいきます。 このことをよく覚えておきましょう。
けれども、もっと大事なのは、学ぶとはどういうことか、何を学べばいいのか、それを間違えないようにするということです。 自分の人生に、見たくないものを見ているとき、経験したくないものを経験しているとき、どうしたらいいか? このときに、「自分がこんなことを惹き付けてしまっているのだから自分の心を変えないといけない、自分がほんとうに見たいものに意識を向け直さないといけない」というふうに焦っても、学ぶことはできません。 成功したかったら自分が成功したところを思い浮かべればよい、好きでない自分は見ないようにすればよい、などと耳にしますが、それではうまくいきません。学んだことになりません。 なぜなら、たった今、成功していない自分も、ほかならぬ自分自身なのであり、その自分をまっすぐ直視して受け入れなければ、自分のほかの部分、成功の部分を経験し受け入れることもできないからなのです。 人生は引力の法則によっている、というよりも、人生で起こること目にすることは、すべて自分自身の心である、と言ったほうが正確です。 何を見ても、経験しても、「ああ、これも自分の心なんだ、わたしの心はこんなふうにも見えるんだ」と理解する姿勢を習慣にすることが、学ぶということです。 そのように少し余裕を持って人生を見ると、まもなく、心の余裕を鏡のように映し出す経験がやってきます。その経験をし続けるために、人生という時間が用意されているのだと思います。
(初出誌 Linque Vol.16 発行:国際美容連盟2007年4月)
Comments