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75. ショックの受け止め方

「ショッキングな出来事」。

今までの人生で、幾つありましたか。

想像だにしなかった社会的事件。事故。災害。

想像だにしなかった個人的出来事。相手の反応。仕打ち。損失。

誰にでもあるのではないでしょうか。そして、そんな時、誰もがまず、「自分(自分たち)に降りかかってきた(襲いかかってきた)脅威」としてそれを捉えるのではないでしょうか。そして動揺する、震え上がる、身構える、、、と続きます。感情的になるのです。

その次から、ふた通りの人生に分かれます。文字通り、そこが岐路なのです。その先の自分自身の人生が、自分が見ていく世界の風景が、どちらの道に進むかによってまったく違うものになります。

一つの道は、たぶん、お馴染みの道です。感情が揺れ動いている状態というのは辛いですから、何よりもまず、その感情を鎮めようとします。そのために、どうするかというと、感情を、何かの対象にぶつけます。誰か特定の一人に怒りや悲しみをぶつけるとか。その出来事の分析や解釈に励むとか。そのためにたくさんの情報をかき集めてみるとか。

そうやっている間は、ある種の気分転換になるので心の奥の悲しみ、怒り、不安を直視しなくて済みますが、それらが消えてなくなったわけではなく、逆にますます強まり、定着します。悲しみや怒りや不安や無力感が増幅した心で迎える未来は、当然、その心にマッチした人生風景になります。次の「ショック」に出会うまで、そう長くはかからないでしょう。

もう一つの道は、まったく別の方法でショックに対処します。心の中で揺れる感情を鎮めようとする代わりに、つまり、もっと正確に言えば、その感情から逃げ、無視しようとする代わりに、吹き荒れる心の中にとどまって、心の風景を、思いやりを持って観察するのです。内省、と呼ぶこともありますね。

「どうしてこんな(ひどい)ことが起こったの!?」と喚き立てる心を見わたしてみると、そこに見える悲しみ・怒り・不安・無力感は、そのひどいことが起こる前から実はそこにあった、見ないふりをしていただけで、確かにあった、ということがわかるでしょう。ひどい出来事の“おかげで”、それが噴出して明らかになったのでした。

ということは、別に思いがけないことが降りかかってきたわけではなかったのです。実は、どんなに気づかないふりをしていても、心に積もり積もっていた重い感情が、「このままでは嫌だ」「解放してほしい」と叫んでいて、それに応えないわけにはいかないほどになったから、自分で爆弾を落としたのでした。

ここまで気づけたら、希望の一歩は目の前です。

せっかく爆弾まで落としたのだから、これを無駄にしないようにしよう、と考えることができます。

つまり、今まで抱え持ってきた重い感情が、自分に重い出来事を経験させたのだから、同じことを繰り返さないために、心の掃除、断捨離が必要なのだ、と考えを進められるのです。

外側をキョロキョロして、次に何が起こるのだろうとか、どの解釈を採用したらいいのだろうとか、どうやって自分を守ったらいいのだろうとか、右往左往する代わりに、自分の心を手放さず、自分の心に何があるのか、自分の心は何を求めてどこを向いているのか、心の姿勢を、意識の向きを正す機会とするのです。

ありがたい機会とする。姿勢を変えることで、自分がたった今見ているドラマの方向もまた変わるのだという経験をする。それによって、その悲劇、その脅威は、自分にとってかけがえのない意味を持つものになります。それだけが、物事に意味を与えます。

今こそ、真の決意と行動を覚悟しなければならないのではないでしょうか?

真の行動とは心の行動です。心の姿勢を重い感情から穏やかな喜びに向け直すことです。

今しなければ、今の子ども達、その子ども達は、私たちの重い感情=悲しみ、怒り、不安、無力感などが山より高く積み上がった人生を引き受けなければならなくなってしまいます。

今、これまでの更なる不安に向かうドラマを終わらせることで、ことなきを得る、のではなく、素晴らしい良きこと、奇跡のような転機にするのです。

友人が脳腫瘍と診断され、それもかなり深刻で余命まで宣告された時のことです。それは本人はもとより周囲の誰にとってもショックなことでしたが、彼は、自分の心を見渡して、「ああそうだね、怖いね、文句があるね、死にたくないね」と、あらゆる思い、感情、声に慈しみの視線を投げかけました。起こったことを受け入れ、心の叫びもまた、受け入れたのです。誰が? 叫んでいない自分、叫んでいる自分を平静で優しい眼で見る自分が、です。この自分が出現すると、心の叫びは、聞き届けられた、理解された、と感じて大人しくなります。そこで、心の奥から出現した自分が宣言しました。「生きるよ」と。闇雲に、生きたい死にたくないと叫ぶのではなく、鎮まった心が全的に宣言する声には絶対の力があります。そのようにして、彼は奇跡的全治を遂げたのでした。

( 初出誌 Linque Vol.76 発行 : 国際美容連盟2022年7月)

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