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執筆者の写真Yasuko Kasaki

49.『奇跡のコース』で美しさと幸せを!

この夏のはじめ、シカゴで開催された「この20年のスピリチュアリティの深化を祝う」と銘打たれた、大規模なスピリチュアル・カンファレンスに参加してきました。この20年、どれほどわたしたちの意識が変わってきたか、どんなものに導かれてここまで来たか、これからわたしたちが向かうところはどこか、といった一貫したテーマで、脳科学者、霊能者、直観医療、、、多岐にわたる“分野”からのトップ・リーダーたちと親しく話す濃密な三日間でした。 20年とは、『神との対話』『聖なる予言』が出版されてからの年月です。この二冊のミリオンセラー以降、一般のわたしたちの意識の目覚めがどれほど加速したか、どれほど遠くまできたかを確認することになりました。(この二冊は、共に、一年以上多くの出版社から出版を断られていました。20年前は、このような“スピリチュアルな”書籍など、マーケットにはのらないと考えられていたのです)。日本にも浸透したリコネクションやマトリックスなどのヒーリング・メソッドも、『引き寄せの法則』や『ザ・シークレット』、『超次元の成功法則〜私たちは一体全体何を知っているというの!?』などの登場も、この流れのなかで自然に生まれ、当然のように各国に広まったものとして位置づけられました。そして、そのなかで、「この20年があったのは、50年前に始まった『奇跡のコース』という礎があったからで、今もなお、あらゆるスピリチュアリティは『奇跡のコース』とともに学ばれている」ということも、皆が同意し、改めて姿勢を正すことにもなりました。

『奇跡のコース』とは、フロイド及びユングの心理学専門家であり、エドガー・ケイシーの息子ヒュー・リン・ケイシーと親交のある、ニューヨーク・コロンビア大学ヘレン・シャックマン氏に訪れた内なる声の集大成であり、文字通り、奇跡を起こすための心のレッスンが記された、カリキュラムです。1965年10月21日に声の書き取りが始まり、実に、7年の歳月をかけて完成されたものです。スピリチュアリティの新しいバイブルと呼ばれています。アメリカを中心に、世界22ヶ国語に翻訳され、学ばれています。ホリスティック医療はもちろんのこと、最近では、ニューヨークの大病院の、たとえば癌専門医なども学ぶ人が増えてきました。また、マリアンヌ・ウィリアムスン、ガブリエル・バーンステインといった女性のリーダーたちによって、女性が美しさを磨き、よりバランスのとれた情熱的な愛情生活、家庭生活、キャリアを築くための、最短距離の学びが『奇跡のコース』である、という認識も生まれました。テレビのトーク・ショー司会者オプラ・ウィンフリーも学習者のひとりとして有名です。

『奇跡のコース』誕生以降、わたしたちは、この世の何かが自分を幸せにしてくれるという思い込みからゆっくり離れてきました。 たとえば、プラダのバッグを持っても、それは自分を幸せにはしてくれません。夢見るように素敵なバッグを持つ気分は悪いものではないにしても、心の渇望は癒されていません。しかも、プラダのバッグが欲しい、という願望を持つこと自体が、実は、バッグを手に入れる可能性を低くしてしまっています。バッグでなくても、何かを欲しがると、その欲しいものは遠ざかります。「強く思えば願いは叶う」というのは事実ではありません。たった今、自分が持っていないものを欲しがるということは、宇宙のサポーターに向かって、「わたしは持っていません」「足りないんです」というメッセージを繰り返し送ることになるからです。 一方、「こんなわたしではないはずだ」「自分にはとても無理、というネガティブな思いを持ち続けていたくない」「あの人はプラダを持っているのにわたしには買えない、という悔しさはもう欲しくない」「ほんとうの自分を実現させたい」という願いは、ごくたまに思う代わりに、朝から晩まで、ずっと持ち続けていたい種類のものです。ときどき思っても効き目はまったくありませんが、常に思い続けることで必ず実現します。

ふたつの願いの違いがおわかりになりますか。

先の願い、「自分の持っていないものが欲しい」という願いは、「自分とは違う人になりたい」と言っているのと同じです。今の自分はプラダが似合わないし、買える経済力もない。なんとかプラダが似合って、プラダが買える自分に変身したい、という願望です。でも、実は、「別人になりたい」と心の底から願える人などいないのです。誰もが、自分自身を愛していますから。どんなに今の自分が嫌いでも、自分を愛するのをやめることはできません。ですから、「別人になりたい」という願望は、本心ではないので、叶わないのです。

後者の願いは反対です。愛している自分のほんとうの姿を外に表したい、自分の優しさや美しさ、柔らかさや強さを表現したい、という願いは、嘘の願いになどなりようがありません。そのために、いじけた気持ちや過去の傷や、誰かの否定的な言葉など、持っていたくないものを捨てたい、と一心に願うのも、本心を裏切るものにはなりません。

愛する自分のなかにあるもの、今は見えていないかもしれないけれど、あるはずのものを引き出したい、それらが外に現れるのを邪魔している思い込みや感情を洗い流したい、という願いほど、まっすぐで正直な思いはなく、そんな思いは必ず宇宙のサポーターに受け取ってもらえます。奇跡を起こすのは、実はむずかしいことではなく、正直な思いを持ち続けるだけでいいのです。わたしたちそれぞれの正直な思いを明確にし、それによって、その願いをすぐにでも叶え、昨日より今日、今日より明日、より美しく輝く自分になる、その自分を大事な人たちに分け与える、与えることで世界に貢献する、そのために、『奇跡のコース』はあるとも言えます。


(初出誌 Linque Vol.50. 2015年10月20日 発行:国際美容連盟)

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