日本アロマコーディネーター協会認定、いやしのカウンセラーライセンスを取得するための教材を見せていただきました。すばらしいレッスンがぎっしり詰まったワークブックです。 自分の住んでいる場所を他所の人に紹介してみましょうというワークに目が止まり、さっそく手元にあったメモ用紙に書きつけてみました。 「わたしはニューヨークに住んでいます。ニューヨークのマンハッタンはほんとうに小さな島で、その小さい場所にみんながぎゅうぎゅう詰めになってたくさんのことをしています。生まれながらのニューヨーカーもいますが、ほとんどの住人は、他所から、ニューヨークに来たくて来て、来た喜びをいつも活性化させながら生きています。喜びが大事なのです。喜びがひからびてきたら、ここにはいられません。喜びと共にあったときには力をもらっていた、周囲で起きているたくさんのことに、今度は押しつぶされそうになるからです。それがニューヨークです。さあ、今日も喜びにあふれて生きよう、と、目覚める人たちで、ニューヨークはいつも活気づいているのです」。 書いたものを読んでみて、ああ、これが今の自分なのだなと、楽しい発見ができました。 十年以上前に上梓したエッセイ集で、ニューヨークについて書いたことを覚えています。 「ニューヨークは、瞑想的な街です。外側から見るとわかりにくいかもしれませんが、ニューヨーカーの心は、いつも瞑想的な状態に導かれています。心の、静かな、安定した部分を覚醒させていること、それを忘れると、たちまち迷ってしまいます。それを鮮やかに体験させてくれるのがニューヨークです」。 当時のわたしは、そんなふうだったのです。 より正確に言うならば、十年前も、今も、わたしの心は、喜びにも、平安/静けさにも惹かれているのです。ただ、その時々、心の性質のいずれかが、弾けるように飛び出してくるのです。「ニューヨークは正直な街だ」と言いたくなることもあるし「遊び心にあふれている」とか「やさしい街だ」というときもあります。それらは全部、わたし自身の心の有り様、そしてその心を鏡のように映し出す日々の経験を表現しているのです。 ワークブックは、異星人に地球という住まいを紹介しましょう、と、すすみます。 「初めまして。私は地球に住んでいます。この惑星の美しさ、色彩の豊かさ、バラエティの限りのなさは、それはもう無類のもので、わたしたち人間は、いつも、ほとんど圧倒されています。その豊かさ、美しさに負けないよう、いつも、自然と自分を一体化させなければなりません。自然のなかで、醜い自分、弱い自分でいることや、自然と闘うことをしていると、わたしたちは、たちまち力を失って、生きていけなくなってしまうのです。いつも自分を美しさのなかに溶け込ませる姿勢が不可欠なのです。すばらしいでしょう? 間違った方向に進んでいると、まもなく否応なしに修正、訂正を迫られて、美しい世界に、ふたたび溶け込むことができるのですから」 これは、わたし自身の地球に対する思い、自分の心のあり方に関する思い、自分の生きる指針についての宣言とも言えます。 このレッスンの目的は、果たされました。わたしは、ニューヨークを、地球を、誰かに紹介するつもりで、自分の心が向いている場所を再確認させてもらいました。 ついでに、ここで、人間という種についても、紹介させてください。 「わたしたち人間は、自分が何であるか、わかっていません。なぜなら、自分という存在の本質は目に見えないからです。わたしたち人間は、誰か、相手を見て、自分を知ります。相手のなかに生命の輝き、強さ、やさしさを見るとき、わたしたちは、自分もそうと知り、嬉しくなります。相手にそれが見えないときは、ああ、自分のなかに生命の輝きを感じていないから、相手にも見ないのだなと思い出せます。だからわたしたちは、お互いに感謝し、お互いを大事にし、お互いのなかに、素敵なものをいつも探しています。一見、別々の人間に見えますが、実はこのように、同じ、ひとつの存在なのです。だから、人間は、本質的に、いたわりあい、愛し合うよう、創造されていると言えます」。 レッスンは、いくらでもできそうです。大好きな人を紹介してみましょう。家族を、友達を、勤め先を、住まいを、ペットを、大事にしているドレスを、紹介してみましょう。自分のなかに、心躍るたくさんのものが存在しているということに気づくでしょうから。そのたくさんのご自分を、楽しんでください。地球は、楽しむところだと思います。
(初出誌 Linque Vol.29 発行:国際美容連盟2010年8月)
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